電車(プロット) by 瀬名科菜花

 「はぁはぁ、はぁはぁ」
 −どうやら間に合ったようだな…。
 電車の手摺りに手を掛けて、僕は息を切らしていた。
 今日は彼女とのデートだ。遅れるわけにはいかない。
 家を出る時間が甘かった。駅が見えてきた所で、このままでは電車に乗り遅れる事に気付いたのだ。慌てて走った結果、今の状況というわけ…。
 息も落ち着いてきたので、空いている席に座った。電車は既に発進……していない?
 −何かあったのか?
 念の為時計を見たが既に出発していて当然な時間だった。そもそも、乗り遅れそうだったから走ったのだ。