夏の時間、その頃と僕。

「また、君と会えるなら。」
そう言って君は居なくなった。
もうずーっと昔の話だ。

それでも僕は…

−−−

みーん、みん、みん、みん−−
ねっとりとした暑さとセミたちの青春が僕の部屋を満たしている。
受験を控えた高校3年の夏、参考書がバーゲンセールのようにちらかった机には、紅里が一緒になってノートを広げている。
邪魔だと言って追い返しても、気付いたらコレだ
「おい」
「なぁに?おにぃちゃんっ♪」
「なぁに?なぁにだとぉっ!おま、おまえは1分前の忠告すら忘れてしまえてしまう究極生物だったのかっ!?それに